第11回MF文庫Jライトノベル新人賞企画

はい、それでは『ダメ魔騎士の英雄煌路』の紹介ですっ！

…………

……あの、アルフ？　なんで黙ってるんですか？

え、これって俺もしゃべるのか？

当たり前じゃないですか！　あなたこの話の主人公でしょう!?

えぇ……面倒だからリーネがしゃべってくれよ。その方が見栄えもいいし

見栄えって……ああっ、これ尺短いんですから早く進めないと！

んじゃとりあえず『リーネの泣き虫エピソード百選』とかやっとくか

なんでいきなり話を脱線させるんですかッ!!　それと私は泣き虫じゃないです！

いや少なくとも百個選べるくらいのエピソードがあるんだけどな

ないです、ないですから！　もっと別の話をするべきでしょう!?

それじゃ『リーネの恥ずかしいエピソード百選』にするか？

なんで私に風評被害を与える方向性で話を進めるんですか!!　どうせいつものウソでしょう!?

いや子供の頃の話なんだから、リーネにもちゃんと身に覚えがあることだ

普段からウソをついてることは否定しないんですね……。そこまで言うなら、試しにどうぞ？

二人で昼寝してる時、気持ち良さそうな寝顔で俺の服をずっと掴んで放さなかったりとか

ふふん、私が寝てる時じゃ真偽不明なので、それはノーカンですっ

んじゃ子供の頃、俺の事をクライドさんと間違えて『おにいさまー』って呼んで来たりとか

………………あったような気がしますね

ああ、ついでに思い出した。リーネって昔は風呂嫌いで『アルフと一緒じゃなきゃヤです！』って駄々をこねてメイドさんを困らせて、結局一緒に入ることに——

……すみません、私が悪かったのでもうやめましょうか？

いやぁ、あの頃は『アルフー、髪洗ってくださいー』とか言ってきて可愛かったもんだ

やめようって言ってるのになんで話を余計掘り返してるんですかああああッ!!