天使と鴉のプレセピオ −人狼×討伐のメソッドⅠ− 著:斜守モル イラスト:マナカッコワライ

佳作

真実は、いつも残酷で、そして切ない。

はじめに

一年間に約一人、人間を喰らわなくては、彼らはその命を保てない。世界で初めて《人狼》が確認されたのはもう何百年も過去の話になるが、日本に人狼が入って来たのはそう遠くない明治時代と言われている。もともと彼らは未開の森深く、限られた地域にだけ存在していた。狼を、神と崇める部族の森だ。そして人狼は、幸福をもたらす神として扱われていた。神である人狼は、供物として人肉を手に入れていた。だから人狼は必要以上に人間を襲うこともなかったし、人間たちはそれで幸福がもたらされるならと満足していた。奇跡的なバランスが保たれていたのである。しかしそのバランスが崩れたとき、世界がどう変化するか——人類は、その憶測を誤った。それは決定的な過ちだった。時代の流れと共に森は開発され、部族は姿を消した。生贄を失った人狼が世界中に散らばって、そこで初めて人類は自らの過ちに気が付いた。解き放たれた幸福の神は、怪物となったのだ。

あらすじ

“人狼”、彼らは一年間に一人、人間を喰らわなくては、その命を保てない。カナガワ3区の新人討伐官・連野壮真は、人に化けて人を喰らう人狼を討伐するため、自らを天使と名乗る同僚の討伐官・篠崎樫乃と任務に励んでいる。共に両親を人狼の手によって失った二人。だが、二人は初めての囮捜査で偶然にも、樫乃の両親の仇である、遺体にV字の傷跡を残す・侵才の人狼《VOLF》の犯行の痕跡を発見する。しかし、樫乃が人狼の正体を見破ることができる《暴きの目》を発現させてしまったことで、二人の運命は大きく変わってゆくこととなり—!? 第12回MF文庫J新人賞受賞、鮮烈の小説デビュー作。これは—決して暴いてはならない真実の物語。

キャラクター紹介

【カナガワⅢ区の新人討伐官】連野壮真
【壮真の同僚討伐官】篠崎樫乃
【射京専属秘書】イコイ
【人狼討伐プロファイリングの天才】吉田射京
【アイルランド出身の新進気鋭の討伐官】シャノン・ロセ