学校外において、主に子どもの指導を目的とする職業。たまに親とも戦う。
学校教育のサポートをするボトムアップタイプと、受験指導をするハイレベルタイプがある。
とくに資格を必要としない分、その力量はばらばら。子どもに好かれることは前提スキルとなっているが、あえて嫌われる上級スキルもあるらしい。
塾講師の道を選ぶ人間は、主に三パターンいると言われている。
日本橋を総本部とする中高受験指導塾のTAXが、多摩地域に展開した校舎の一つ。
小学部と中学部が併設されており、調布駅北口広場に面するビルの数階を占めている。
小規模校舎でありながらも、『地雷四天王』の一角として、TAX講師たちのなかではある意味有名。
月例テストの成績によって、生徒の所属クラスは機動的に入れ替えられていく。
一番下のクラスはA、そこからB、C、Dと成績順にアルファベットが割り振られる。
生徒数によって校舎の総クラス数は上下するが、一番上のクラスはどの校舎においても、特別に『アルファ』と呼称する。
アルファクラスに所属することは、生徒のなかではちょっとしたステータス。
子どもの安全を確保するためのシステム。
授業終了後、保護者が校舎まで迎えに来られない生徒を集め、クラス単位で公共交通機関まで講師が誘導する。
交通機関まで距離がある場合や、繁華街を避けなければいけない場合、あるいは近隣駅が複数存在する場合等、校舎によってはちょっとした遠足ほどの運動量になるという。
授業後に始まる『もうひとつの授業』。課題に詰まった生徒、授業で疑問点が残った生徒、習熟度が劣っている生徒等を集め、講師が一対一で対応していく。
授業そのものよりも活気あふれる空間になるケースが多く、進学塾TAXが合格実績を伸ばす理由の一つとされている。
一部には、この質問教室の仕組みを悪用する者がいるらしい。
校舎における大統領。ただし選挙はない。進学塾は強固な封建体制によって支えられている。
受験教育界隈においては未だに馬鹿にされるか、無視される存在。
児童文学を持ち上げるための踏み台にされることも多い。
生徒のためではなく、主に保護者のために考えられたパッケージプラン。
学校が休みのあいだ、体力が有り余ってしょうがない子どもたちの面倒を塾が見る。保護者は息抜きができて、子どもは非日常を体験できて、塾も講習費が儲かる、三方一両得のWIN-WIN関係。つらいのは塾講師だけ。
うるさい子どもたちを世間から隔離して管理する閉鎖空間。周囲から切り離されてあればあるほどよい。理想の合宿所は監獄。
ノーネクタイで出勤してもよいかわりに、パワハラ室長やモンスター保護者に「講師としての自覚が足りない」と嫌味を言われる期間。面倒なのでだいたいの講師がネクタイを締めて働いている。
合宿中は保護者の眼が届きにくいので、服装もだいぶ自由だ。
子どもと歩いているとすぐに近寄ってきて、にこにこ話しかけてくる、青い制服を着た暇人たちのこと。おそらく子どもと仲良しなのがうらやましいのだろう。
大人の武器。効果はてきめんだ。