謎解きはミステリだけのものではないのでは?と最近よく考えます。SF世界における特殊なギミックを用いたどんでん返し、ファンタジーには主人公も知らない世界の秘密がある。でも一番の謎を秘めているジャンルは意外にもラブコメなのかもしれません。誰にも解けない謎は人の心にこそある――義妹、綾瀬沙季の日記を読んでいてそう思うのです。
さぁ、一層盛り上がってきたぞ…!(一足先に3巻を読んだ感想)
高校生の男女が義理の兄妹となってしまうという、ラブコメの王道をしながらも、大事件もなく、静かに、自然に、だからこそ繊細でリアルに揺れ動く心に目が吸い付けられる本作。
でも二人の気持ちは少しずつだが、確実に変わりつつある。
一読者から言うと、『見ていて面白い方向』に。
この3巻は悶える2巻ラストからの勢いを引き継ぎ、ついにラブコメのおいしい果実の中心部に思いきりかじりついてきた。
義妹生活の好きな表現の中に、
「おかえり、浅村くん」
「ただいま、綾瀬さん」
といった会話がある。
これは自然に見えて、明らかにおかしい。
おかえりやただいまは同じ家に住む家族に言う言葉だ。
苗字で語り合う仲の相手に、普通は使わない。
そうして他人行儀の家族を軽妙に表現しながら、言葉が徐々に変わってくる。
互いの気持ちと共に。
静かな心の動きなのにしっかりと移り変わりが感じられるのは、こうした表現で定点観測させ、わかりやすくしているためだろう。
心憎い演出だ。
ラブコメの面白さがたっぷりと詰まり、今までも、そしてこれからもさらに盛り上がりを見せる『義妹生活』。
ぜひ多くの人に読んでもらいたい一作である。
義妹生活 13
これは高校生活最後の物語。
12月の学校は、人が少なく静かだった。
受験勉強に取り組みながらも、青春の残り時間を儚んで、悠太と沙季は惜しむように登校を続けていた。
季節は廻り、受験が迫り、時の流れと抗えない変化の訪れを感じていく。
そうして今年も終わりを迎えようとしていた。
そんな中、太一と亜季子は受験を間近に控えた悠太と沙季を家に残し、綾瀬家の実家に帰省することに。
残された二人はまるで夫婦のような幸せな時間を過ごすことになり――。
二人きりの年越し、受験本番、卒業式、思い出の家族写真、合格発表、秘密の添い寝。
人生の壁を前に癒やし合う“兄妹”が次のステージへ向かっていく、恋愛生活小説、第13弾。
義妹生活 12
二人きりの、初旅行。
沙季の様子がおかしい――。
どこか機嫌が悪そうで、けれど悠太が大丈夫かと問いかけても笑顔で「大丈夫」と答えるだけ。
秘密。共有されない悩み。
それは「すり合わせ」を良しとする二人の関係では珍しいことで、悠太は沙季の状態を心配する。
以前ならどうすればいいかわからず、適切なコミュニケーションを取れなかったかもしれない。
だが今は一年以上を共に過ごしてきた経験がある。
彼女のことを知り、関係を深めた今だからこそできる支え方もあるはずだと、悠太は沙季のためにできることを実行していく。
悠太の成長と“好き”の感情、はじめての家出、温泉旅行。
置き去りにした過去と対峙し、“兄妹”は大人へと成長する――。
義妹生活 8
「今年は同じクラスだね。よろしく」
自分たちの関係を受け入れてくれるコミュニティを大切にする――そんな新たな価値観を知った悠太と沙季。
順風満帆かに思えた二人の関係だが、春休みを過ぎ、三年生になった彼らにはまた大きな変化が訪れる。
クラス替えにより同じ教室での生活が始まり、近づいてきた受験と未だ見えぬ将来設計に惑い――そしていつの間にか、二人が家族になってから一年が経とうとしていた。
ここまでゆっくりと距離を近づけてきた二人は、近づきすぎてしまった自分たちの関係を見つめ直すために『すり合わせ』をするのだが――?
“兄妹”であり“恋人”でもある二人が理想の距離を模索する恋愛生活小説、第8弾。
義妹生活 7
兄妹には近すぎる距離。
兄妹になってから初めての年越しで思い出を振り返りながら距離を縮めた悠太と沙季。
親戚付き合いを経て、誰からも歓迎される関係の難しさを実感しつつも沙季は悠太との触れ合いを求めるようになっていく。
バレンタイン、海外への修学旅行、旅先での新たな出会いと気づき。
特別なイベントにもかかわらず、家の外で過ごす時間は、二人にとっては逆に恋人らしい交流ができず、距離を感じるもどかしい時間でもあった。
そして『自分本位の幸福の追求』という価値観に触れたとき、自身の想いを抑圧しがちだった二人はある行動を起こす――。
“兄妹関係”から恋人への階段をのぼっていく、等身大の二人を描いた恋愛生活小説、第7弾。
義妹生活 6
ひとりで生きていくと決めていたのに、いつの間にか誰かの隣で歩いていきたいと考えている。
ハロウィンの魔力に惑わされるように恋人同士の温もりを求めた悠太と沙季。
表向きは今までと同じ距離感を保ちながらも、その関係の在り方には確かな変化があった。
互いの誕生日、サプライズとすり合わせ、クリスマス、初めての年越しと、里帰り。
プレゼントや記念日の過ごし方、相手の喜ばせ方に悩みつつ、不器用な二人なりに幸せな道を模索していく。
そして、両親や親戚の姿から大人になることや家族の繋がり、恋愛関係のその先……結婚や子どもについても考えさせられ……?
これは、兄妹になった二人が過ごす初めての冬の物語。
義妹生活4
兄妹でいよう。そう決めたから。
悠太が初めて沙季に「兄さん」と呼ばれて以来、兄妹として進展したかに見えた二人だったが、互いに秘めた想いのせいもあってか、その関係はどこかぎこちなかった。
そんな中で、三者面談、オープンキャンパス、男女混合の勉強会など、様々なイベントが訪れ、二人はそれぞれ新たな出会いを果たす。
『距離の近い異性が偶然ひとりしかいなかったから、好きになっただけ』
そんな意地の悪い命題に直面した二人は、再び自分自身の感情と向き合うことに。
未来と現在、常識と非常識、建前と本音、自分の幸せと家族の幸せ。
何を優先し、何を我慢するのが正解なのか?
悩みと出会いの果てに、悠太と沙季はある“決断”をくだす――。
義妹生活3
兄妹として、初めての夏休み。一歩ずつ歩み寄っていく二人の、大切な日々。
悠太と沙季が義理の兄妹になって初めて迎える夏休み。
何故か悠太が働く書店に履歴書を出した沙季は、アルバイトの後輩として働き始めることに。
兄ではなく、先輩として彼女と接していくにつれて、悠太は今まで見えていなかった、沙季の新たな一面に気づいていく。
そんなある日、同じシフトで働く読売栞が、沙季の様子にひとつの不吉な兆しを見出す。
「あの子の真面目で自分に厳しい、甘えられない性格は、いつかあの子自身を壊してしまうかも」
決断を迫られる悠太。
期待しない、干渉しすぎない――その約束を破り、彼女の在り方に影響を与えてしまうような介入をすべきか、否か。
兄として選んだ“選択”とその結末は……?
義妹生活2
兄妹の想い。知らない感情。 不器用に寄り添う二人の幸福な日々。
高校生の浅村悠太は親の再婚を機に、学年で一番の美少女・綾瀬沙季と一つ屋根の下で兄妹として暮らすことになった。
同年代の異性との生活に慣れないながらも、どこか似たもの同士だった二人の距離感はお互いに程良く保たれていた。
だが、定期テストをきっかけに沙季の様子に異変が生じる。
苦手教科に悩む沙季を心配し、その支えになろうと考えた悠太は、彼女の勉強環境を整えたり、集中できる音楽を探したり、さまざまな工夫を凝らしていく。
しかしそれと時を同じくして、悠太はバイト先の先輩である美人女子大生・読売栞からデートに誘われる。
その事実を耳にしたとき、沙季の心に浮かび上がった“ある感情”とは……?
義妹生活
すこしずつ距離を縮め、兄妹以上、家族とも違う関係を築いていく二人の毎日
高校生の浅村悠太は、親の再婚をきっかけに、学年で一番の美少女・綾瀬沙季と一つ屋根の下で兄妹として暮らすことになった。
互いに両親の不仲を見てきたため男女関係に慎重な価値観を持つ二人は、歩み寄りすぎず、対立もせず、適度な距離感を保とうと約束する。
家族の愛情に飢え孤独に努力を重ねてきたがゆえに他人に甘える術を知らない沙季と、彼女の兄としての関わり方に戸惑う悠太。
どこか似た者同士だった二人は、次第に互いとの生活に居心地の良さを感じていき……。
これはいつか恋に至るかもしれない物語。
赤の他人だった男女の関係が、少しずつ近づいていき、ゆっくりと変わっていく様子が綴られた、恋愛生活小説。
『家族になるって、あまりに難しい』
思春期の男女の間で、みずみずしい感情が揺れ動く。
家族になれますか? 本当に、なりたいですか?
幸せの形に迷う二人に、感情移入せずにはいられない。